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日本の美術商業界

日本の美術商業界

街を歩くと絵画や焼き物を販売している店が各所にある。
東京では、銀座、京橋、日本橋、青山、赤坂辺りにおおい。
絵画購入を検討している方は上記の近隣の画廊を訪れるのが一般的であろう。

それらを総称して美術商と読び、大別すれば絵画を扱う業者と陶磁器などの工芸品を扱う業者の二種類になる。
絵画を販売する業者を通常、画商といい、後者を古美術商というのが一般的であろう。

画商は絵画販売を扱い、版画や彫刻を主に扱う画廊、油絵を扱う画廊、日本画を扱う画廊がそれぞれある。
版画や油絵を販売する業者を洋画商、日本画を販売する業者を日本画商という。
現在は洋画商を扱う業者が近年増加する傾向にあり、西洋画を専門に販売業者も生まれている。

以上のような各種の美術業者は、全国に実数で3000前後存在しているだろうと推定されている。
いくつかの組合があり、洋画商協同組合や版画商協同組合がその代表的なものであるが、日本画では存在しない。
また、美術商協同組合もあるがその実数は現在約1000人である。
全国に3000は存在している美術業者のうち、約1000人しか団体に加盟していないのかと思われるかもしれない。
しかし、この業界ではそれぞれの独自の仕入れ力が重視をされている業界である。
団体に加盟をしていては他社と同じ条件でしか絵画を購入することが出来ない。
つまり、わざわざ加入の必要がないことから加入率が低いのである。

また、業界団体が存在していることでそこに在籍する老舗の店舗は経営を変えようとしないのである。
これが日本の絵画販売の価格が高止まりしている要因の1つでもある。

美術商の特異性

美術販売の業界は浮き沈みが激しく、長期に安定的に経営している業者が限られているという事態からである。
常時3000は存在している業者野うちのどれだけが、果たして、経営的に確実な条件を見せているだろうか。
素直に言うならば、半分はとうてい難しく、せいぜい、三分の一程度が評価に値するのではなかろうか。
それはなにに基づくかと言えば幾つかの要件がある。

第一に、なによりも有力な商品の仕入れが困難であること。
第二に、少数の有力商品を除くと商品の販売に長い時間を要すること。
第三に、販売先からの代金の回収に時間を要すること。

一般的に上記の3つの要件に集約されるのである。
しかし、その3つ密接に関連していることに留意をして頂きたい。

これからの美術商には経営的な知識と顧客主義の徹底が必要とされているように思える。
当店ではこのような日本の美術商の常識を覆すため、絵画は海外のギャラリーから直接購入をしており、 額縁やマットも製造工場をもつメーカーと直接契約を行っております。
企業努力により今までの日本の絵画販売の常識を覆す価格と質の両立を目指しております。

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  • 絵画販売業者の作品交換

    年間の絵画販売の取引額が2000億円はあろうと推定される日本の美術市場を構成しているのは、
    全国に何千という数で存在している各種の美術商である。
    美術商の主な仕事は、客との間で絵画を購入、販売することであるが、それは、あくまでも一面に過ぎない。
    この職業には、もう一つ重要な面がある。

    「会へ行く」「会がある」という言葉を美術商はよく使う。これは業者の作品交換会のことである。
    一般の美術愛好家には窺い知れない世界である。
    交換会は、それぞれが所属している組合、あるいはサークルによって様々な形で行われている。

    交換会の目的は、各自が手持ちの絵画作品を持ち寄って、より必要な作品を入手することにあるのだが、
    業者間の取引それ自体が相当量である結果として、独自の市場を作り出し、かならずしも、すべてのものが
    客を予想し、また、客に依存していないのが実情である。もっと具体的に言うと美術商協同組合の場合、会で
    売却した作品は翌日換金でき、購入した品は一ヶ月以内に精算すれば良く、手数料は売り手の負担で三部という
    低廉さであり、他も多くがこれに準じている。売る場合には換金が早くて手数料が少なく、買う場合には余裕が
    あって、手数料が不要というふうにすべてが有利に出来ていて、しかも、同業者以外の介入も注視もないと
    言う平穏な絵画販売の場は、業者にとって、一種の安全地帯であり、そこのみで、ある程度、商売が成り立ちす
    れば、とかく、ないし的になりやすい環境である。

    このような業界市場は欧米には全く例を見ない。
    言うまでもないと思うが、欧米におけるオークションはパブリックであり業者も一般人も、入り交じって、
    同列において熾烈に争う。ついでに言うと、日本におけるオークションのほとんどすべては、業者が経営しており、
    これもまた、変則的である。
    さて、話を元に戻すと、一般市場の内側に、きわめて恒常性のある互助的な業者市場を要している業者であるから、
    その大多数の意見が一致するならば、協力に業界を主導することが十分に可能なのである。

    また、この業界関係者のみの競売のため一般の購入者には市場価格がわかりにくく、高値で絵画を購入させられる
    一つの要因にもなっている。これが日本の絵画販売が適切な価格となっていない理由である。

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  • 百貨店での絵画販売

    大型の百貨店に多くに美術部とよばれる組織がある。大手は全国的なチェーンをもつ。
    最大規模のところでは、年間に100億円に近い売上高がある。推定額としては、百貨店が美術市場に占める分は
    2000億円のうちの相当部分を占めている。
    この場合、留意しなければならないのは、百貨店の仕入れで、独自の仕入れは少なく、相当数が大手美術商に
    依存している事実である。

    大型店への卸を主な職業としている一枚の絵株式会社が1985年度で年商38億円を持つように、大手の美術商は、
    常時、億単位の品を百貨店に入れ、それが各地をサーキュレイトとしている.一般商品と同様に、美術品の均質化は
    必死である。

    美術商の大手の場合、年間でデパートに匹敵し、または、その半分ほどの売上げのあるところが何件かあるが、
    百貨店との関係がきわめて密接である。

    また、上記のことより気をつけなければならないのは仕入値が同じであり絵画販売の大手業者と密接な関係が
    あるとすればその販売価格には百貨店の利益が上乗せされていなければならない。
    つまり、百貨店で販売されている絵画を購入することは通常の絵画の販売価格に百貨店の利益を上乗せして支払を
    していることと同じ事である。

    このような日本の絵画業界の仕組みについてしならいと、どこで絵画を買うのが最も賢いのかわからなくなって
    しまう。もちろんそれでも百貨店で購入をしたいという方も多いであろう。絵画の質ではなく”百貨店で購入した”
    絵画に価値をみいだす方がいらっしゃるのはまた事実である。

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  • 商品としての絵画

    通常、絵画や彫刻や複製絵画を「美術品」という。この場合の「品」とは何か。
    それは作品の「品」であろうが、同時に商品としての「品」でもある。
    美術品は、画家や彫刻家の制作した芸術的な作品であることは言うまでもないが、いったんできあがった物は、
    作者に絵画を販売する意志がある場合には商品として扱われる。商品として扱われると言うことは、何らかの値段がつけられるということである。

    こうして美術品や絵画販売が流通する場として美術市場が形成されて、一定の相場が立つ。現在、日本の美術市場における年間の売買高は、2000億円以上というふうに推定されている。
    従って、商品としての性格を持つ美術品を経済的観点からとらえることは可能である。

    どんな商品にも「特殊性」はあろう。とはいえ、アートの特殊性はその価値判断が主観的で個別的になりやすく、
    全ての人々の一致した賛成が得られるのは、ごくまれにしかない。

    たとえば、現代最大の巨匠ピカソの場合を見てみよう。ピカソの偉大さについては、異議を唱える人は、ほとんど
    いないだろう。だがその絵をみんなが好むかというと、けっしてそうではない。 好きだという人でも、初期はいいが、
    その後のものはどうとか、版画はいいが、絵画はどうも、とかいった類の論議が耐えることがない。

    それでは、美術品の商品の価値に関しては何らかの客観的法則も見いだされないかというと、必ずしもそうでは
    なく、複雑ではあるが、何らかの方式に従って、市場を流通している。 それは一般の人々にはまるでわからない。
    どうやったらわかるのかもわからないほど、複雑で、陰に隠れている場合が多い。絵画を販売している人間にもよくわからないことがある。当の作品の作者自身などは、もっとも分からない方に属するだろう。

    これが絵画購入の際に値上がりしますと言いながら絵画販売をしている画廊の人を信用してはいけない理由である。
    値上がりする可能性が高いのであれば赤の他人に販売すること自体がおかしいのである。

    飾るためのインテリア絵画を購入しにいったにも関わらず、値上がりするといわれ絵画を購入することがないよう
    に気をつけましょう。

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  • 絵画販売価格の決定

    絵画販売価格の決定者

    絵画は様々な価格をつけられて販売をされているが、作品の価値を決定するのは、作者の能力は別として、美術商と収集家である。しかし、それだけではなく、商品の流通に直接携わらず絵画販売を行っていない批評家、ジャーナリスト、学者、識者、観衆の意見が、絶えず価値判断に反映し、それがかなりの作用をする。両者の見解は、対立することもあれば、一致することもあり、また後者のオブザーバーの間でも、各自の立場によって見解の相違がしばしば顕著に表れる。

    それらすべての観点が流動的に集約されて、一定の価値決定が生まれる。ところが実際には決定の主力をなすのは絵画販売を行っている美術商であり、多くの場合かれ独自の判断で価値決定がなされている。
    どうしてそうなるかというと、さきに述べた美術価値の不安定に対して、相当なリスクを持って望むのが美術商だからであり、かれらは最初、未知の物、評価の定まらない物を、自力で相当の期間支えなければならない。

    それにやがて、ある数の客がつくようになれば、おのずから安定するが、絵画購入者の多くは自身の判断を持たず、画廊を信頼し、そのすすめに従って作品を購入することが多いので、たとえ安定したとしても、長期間にわたって自分の売却した品物に対する責任を果たす義務があって、リスクは簡単に消えることがない。事実、顧客が作品を換金する必要がある際には、時価の変動があっても売価を保証することが不問律になっており、いったん自分が販売した作品に対する責任のとり方は具体的でなければならない。
    美術作品は、食物などのように売却した後に姿を消してしまう物ではなく、また消費財のように言って期間の後には使用に耐えられなくなる物でもない。しかし、絵画の販売はそもそも、売と買とでは別ではないかという意見も出てこようが、少なくとも顧客に対する限りそれを割り切ることは難しく、売価の保証は絶対的に必要とされている。

    これらの点から絵画を購入する際には以下の点に留意をする必要がある。
    1.画廊で購入をする場合はその金額や客観的な価値ではなく美術商の主観で決められている。
    2.作品を購入した際に返品保証がない画廊、ギャラリーで購入をすることは絶対に避けるべきである。
    3.画廊に一見さんと思われたら高値で買わされる。絵画を購入する場合は顔見知りの画廊で購入すること。

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  • 絵画オークション

    美術作品を売買する場所は、通常絵画を販売している画廊であるが、それと共ににオークション会社というものがあることは、今日美術愛好者の常識となっていよう。
    オークションとは競売のことである。昔は競売というと差し押さえられた絵画が処分されるようなイメージであったが、最近では欧米における合理的な営業形態の移入によって、ようやく人々の先入観が変化するに至った。

    日本においても、オークションと同様の形式で業者間の絵画作品交換会や業者市場というべきものがある。
    その種の物ならば、大小多様な物が毎日のようにどこかで行われており、絵画販売、絵画売買がなされている。
    美術倶楽部の場合を見ても明白なように、そこでおこなわれる各種の入札会、交換会、即売会、公開オークションなどを合わせた取引高は年間の業績が400億円から700億円くらいの欧米の大オークション会社と大差はないのである。 そのうちの大部分が交換会で、このような業者市場の存在は日本特有の物で他にはほとんど見られない。
    しかもその規模が大きいところから、業者の拠点はきわめて強固である。

    つまり、相互依存的であり自衛的な制度なのである。その結果、業者市場はそれ自体で一定の収益性を持って自転し、しばしばそこに参加しているだけで業者が営業しうる場合も生じてきた。
    もちろん多くの業者は顧客を持ち、顧客を持つことでより大きい収益を得、また作品を販売するだけでなくそれを入手することもでき、発展的に営業を存続させているわけである。

    そのため、留意頂きたいのは顧客に対して画廊が販売する絵画販売価格は通常のオークションの世間相場よりも高い値段で販売をしているのである。なぜなら適切な価格であればすぐに交換会で販売をすることができる環境が整っているためである。このようなに日本では業者のみが本当の価格で購入することが出来、常に画廊で購入する顧客は作品の価値に画廊の利益を上乗せした金額で作品を購入しているのである。

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