クリムトのアールヌーボーの芸術
ウィーンでクリムトの足跡を巡る
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クリムト のゆかりの地ウィーンはヨーロッパの首都の中でも、とりわけ緑が豊かでおだやかな町です。 緑豊かな宮殿の周囲を市電がゆっくり走り、落ち着いた日々を過ごすことができます。 現在この町はクラシック音楽の都として知られていますが、実はウィーンは20世紀初めに前衛芸術が盛んに行われた町でもあります。 そのころ、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に花開いた新しい芸術活動を「アールヌーボー」と言いますがウィーンのアールヌーボーは「ユーゲントシュティール」と呼ばれて後世に名を残す芸術家たちが沢山活躍していました。 音楽ではマーラーやワーグナーなどを中心とした芸術家が前衛的な作品を発表し、学術的な分野ではユングが新しい心理学の領域を切り開いて、話題となっていました。 そして画家や装飾家として、ウィーンのユーゲントシュティールを代表するのがグスタフ・クリムトです。 |
伝統にとらわれない自由なアールヌーボー様式
有機的なモチーフや、自由曲線の組み合わせによる伝統に囚われない装飾性を用いたアールヌーボー様式を、ウィーンでも積極的に取り入れたのです。 若いクリムトが制作した意欲作、ブルグ劇場の天井画では、前衛的な作風であったことから伝統的な作風を望む人たちの批判を浴び議会まで巻き込む議論を巻き起こしました。 それをきっかけにクリムトは自ら新しい芸術グループ、「ウィーン分離派」を主宰して、前衛的な芸術活動を開始したのです。 これが、ウィーンにおけるユーゲントシュティールの始まりとなり、活発な芸術活動の始まりとなりました。 分離派会館として建てられた建物であり、当時を代表する建物として現存するセセッシオンの入口には「時代には芸術を、芸術には自由を」という標語が掲げられています。 この標語を信念として、クリムトをはじめシーレなど当時の芸術家たちは積極的に活動していました。 |
クリムトの絵画をヨーロッパの美術館で鑑賞しよう
アールヌーボーは、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴で、彫刻士の息子として育ち、弟たちも彫金師であったクリムトは、その恵まれた環境を活かして、金箔や宝石といった素材を作品に取り入れています。 残念ながら、議論を巻き起こしたブルグ劇場の天井画は現存していませんが、現在のウィーンでは、彼の絵画をみることが可能です。 有名な「接吻」や「ユーディットⅠ」はオーストリア・ギャラリーが所蔵しており、ベルヴェデーレ宮殿内にある美術館で鑑賞できます。 「帽子とボアの婦人」、「ヨハンナ・シュタウデ」の肖像など、数々の素晴らしい風景画もここで見ることができます。 |