肉や皮といった本来あるべきはずの身ぐるみが一切剥ぎ取られ、骨のみの姿となった人間が悠然とした様子で馬を従えています。死してもなお滅びることのない魂が朽ち果てた生命に力を吹き込み、馬乗りを人骨の姿へと変えたのでしょう。馬の方もやはりほとんど骨のような状態になっていますが、決してくたびれるわけでもなく、かえって力強く走りだしそうな雰囲気を醸し出しています。砂漠の向こう側では空に虹がかかっており、どこか別の場所への架け橋として浮かんでいるようにも感じられます。その場所には希望があるのか、あるいは全く逆のものがあるのか、生ける者や死す者への真実が存在しているのか、その真相を確かめるべく、この馬乗りは再び蘇ったのかもしれません。退廃的かつ生命力のあるHorseman of Deathは、奇才ダリの底知れぬ思いをうかがわせる究極のアート作品です。