マルクシャガールは幻想的な作風で有名ですが、こちらの作品は珍しく静物画となっており、窓辺の食卓に置かれた花と果物を描いています。作品名は「果物と花」ですが、シャガールが好んで使うシャガールブルーといわれる水色を多用し、右下にシャガールらしい幻想的な母子の姿が描かれているのが特徴的です。人の姿に対して大きな花瓶と果物の配置も独特であり、シャガールらしいタッチが楽しめる作品です。淡くすがすがしいシャガールブルーの中に、花瓶にさされた赤い花が華やかさを象徴する一方、窓の外にはグリーンとオレンジの庭木が温かみや穏やかさを添えています。見ているだけでも心が落ち着き、ほっこりするような作品に仕上がっています。