ルノワールの「春の花束」は画面いっぱいに春の花が広がる美しい作品です。溢れるほどの花々が描かれているのに、きついカラーの花はなく、ホワイトやブルー、クリームなどの淡いトーンで統一されているので、大変落ち着いた親しみやすい印象を与えてくれます。ルノワールとしては珍しい写実的なタッチが特徴のこの絵に描かれている花はバラ、アイリス、マーガレット、レンギョウなど花の名前がわかるほど細やかに描写されていて、全体として華やかな落ち着きに満ちています。しかも面白いことに花が行けられている花瓶は和の香りがする模様で、日本人として親しみ深さも感じます。華やかで優美なこの絵は飾るところを選びませんが、玄関に飾ることで多くの来客を歓迎してくれるでしょう。