「星降るような夜空を創造したい」そう願っていたゴッホが、神経発作の為に入院していたサン・レミにある精神病院の病室から見える風景を元に描いた作品です。渦巻く暗雲の中に輝く月や星の煌きがとても印象的です。激情的な夜の情景は、この時の彼の心の景色であったのではないでしょうか。度々襲ってくる発作による苦しみ、それでも止むことのない創作への情熱、生への執着・・。それらに悶え苦しむ胸中を激しくうねる夜空で表現しているように感じられます。ゴッホは「僕らは死によって星へと到達するのだ」とも言っており、自然との一体化だけでなく命の終焉への憧れを抱いていたのかもしれません。ここに描かれた星には、その様な願いや誘惑が込められているようにも感じられます。しかし、交錯する様々な想いとは裏腹に、この作品はファンタスティックな雰囲気を持っているので、観る度に愛着がましていくという不思議な魅力を持った作品の一つと言えるでしょう。