サルバドールダリの「ヴィーナス」は、ヴィーナスの裸体の一部を切り取り、卵や時計をあしらったユニークなアート作品です。ヴィーナスといえば、愛と美の女神として美しい女性の象徴ですが、敢えて全身や顔などは描かず、下半身と女性のシンボルである胸の部分だけを強調しているのです。女性にしかない体の部位だけを切り取ることで、女性の美とヴィーナスの姿を描いたのでしょう。その胴体が半分に裁断されていて斬新な印象を与え、卵や歩く蟻の姿も描く事で生き物の生命力を感じることができる作品です。また、首にかけられているのは、ダリの代表作でもあり、好んで描いた柔らかい時計です。野山が描かれたのどかな背景の中に、インパクトあるヴィーナスの体とダリらしいアイテムが配された作品となっています。