マルクシャガールの「聖パウル寺院の頂上の恋人たち」は、穏やかな雰囲気の作風の中にも強烈な印象を残す色使いが配された作品です。真っ赤な朱に塗り染められた街中の1つに、濃紺のカラーで寄り添う恋人と馬が配され空に溶け込むような恰好です。タイトルにある聖パウル寺院の頂上という言葉から、恋人たちが立っている場所には由緒ある寺院があることが分かります。燃えたぎるような赤い色と、静かな青色のコントラストが異彩を放つインパクトのある作品に仕上がってます。もう1つ印象的なのが、丁寧に描かれた花の絵です。マルクシャガールは花を好んで描いていますが、この花も白や紫がキレイに映え、花だけでも絵画販売ができそうなくらい、活き活きと描かれています。