マルクシャガールの「恋人たちと花束と果実」は、日常の幸福感の象徴が全て集められたような、幸せがあふれでた絵画です。寄り添う恋人たち、勢いよく天に向かって割く黄色い花束、熟れ熟れと実った丸い真っ赤な果実がたっぷりと乗せられた盛りカゴが描かれています。どれもありふれているかもしれませんが、人々に安らぎや日常の幸せを感じさせてくれるアイテムばかりです。この絵の素晴らしい特徴は、やはり色使いではないでしょうか。背景に描かれている男女や植物は、青や水色といった澄みきった透明感を与えてくれる配色がされており、月明かりに照らされている果物と花をやさしく照らしています。ささやかな日常を描いた作品のように見えつつ、人々に勇気と元気を与えてくれる作品です。